《2024年10月27日開催》
地域のなかの書店と図書館、出版の新たな生態系、業界の構造的問題……。
NPO本の学校では、昨年秋に続き「本の学校シンポジウム2024」を東京・神保町の専修大学にて開催会場参加者が70名、ならびにアーカイブによるオンライン視聴申込者が65名となりました。
「第1分科会:書店と図書館にできること―地域を耕す、読者が生まれる」には、パネリストとして栗澤順一さん(さわや書店)と井之上健浩さん(久美堂)、コーディネーターとして藤坂康司さん(名古屋市守山図書館・志段味図書館)が参加。お三方から、自分たちの地域で行っている地域住民と連携して実施しているイベントや商品開発などの事例を多数紹介いただき、どうすれば書店・図書館・地域住民が密接して盛り上がっていけるのか、課題を挙げながらディスカッションしました。本業の傍らでこういった活動に時間を割くのは大変なことですが、登壇者からは前向きで意欲的な発言が続き、大変刺激を受けました。
「第2分科会:著者・出版・書店の垣根を越えて ― 「軽出版」その可能性の中心」では、仲俣暁生さん(文筆家・編集者)と、昨年に続いて竹田信弥さん(双子のライオン堂)が登壇。企画を担当した今井太郎さん(本棚演算株式会社)が進行を行いました。仲俣さんは自身で制作・販売した『橋本治「再読」ノート』の経験を機に、著者自身が編集・製作・販売する「軽出版」を提唱。既存の出版流通が制度疲労を起こす中での新たな可能性を示唆しました。
いっぽう竹田さんは、独立系書店を営みながら、本屋発の文芸誌『しししし』をはじめ、長きにわたり精力的に出版活動を行っています。そのノウハウや原動力について多岐にわたってお話を伺うことができました。
「第3分科会:街に書店が在り続けるためには~未来への提言~」には、パネリストとして小島俊一さん(元気ファクトリー)、大井実さん(ブックスキューブリック/NPO本の学校)、長﨑健一さん(長崎書店)が登場。小島さんが著した『2028年 街から書店が消える日』(プレジデント社)をベースに、書店が生き残るために何をしていくべきかをディスカッションしました。「書店に人を集めるための施策」「書店粗利改善のための取引条件改革」「硬直化した出版物流改革」「業界人研修の必要性」など、テーマは多岐にわたりましたが、いずれも既存の枠組みにとらわれない大胆な変革を行う必要性を感じさせられました。
その後、近隣の飲食店で行われた交流会には関係者含め50名が参加。
美味しいお酒・お料理とともに、登壇者と参加者同士で、熱を持った意見交換がおこなわれていました。



